レースに引き続き、ハンガロリンクでは合同テストが行われています。日本の松下信治をはじめとした若手から昔懐かしいクビカ復活か否かかなど、夏休みに入っても返上で働いていますね。
2017年シリーズも全20戦のうち半分の11戦を終えました。今年はこのタイミングでシーズン前半を振り返りたいと思います。

《予選トップタイムと各チームのタイム差》
まず、昨シーズンから予選後にチェックしてきた「トップタイムと各チームのタイム差を折れ線グラフでまとめてみました。予選後は速報版として目で確認してやってましたのであくまで概算でしたが、グラフ化にあたってリアルに計算したので、今回のタイム差の方が精度が高いです。
昨シーズンの「2016年シーズン1/3を振り返る」で同じことをした際に顕著に表れていた「レース毎のタイム差減少」(いわゆる右肩下がり)の傾向が2017年シーズン前半ではあまりみられず、特に下位チームのギャップは安定していません。その上、各チーム「上に凸、下に凸」は似通ってる中、ウィリアムズだけは第7戦カナダGPと第8戦アゼルバイジャンGPが他に倣わないあたりが最速主義は変わらず、でしょうか。
トップタイムが最も開いたのは高速の市街地である第8戦アゼルバイジャンGPでメルセデスと2番手フェラーリの差が1秒以上となっています。また昨シーズンはほとんどメルセデスがターゲットタイムになっていたところが、今シーズンになると予選からしっかり速いフェラーリを示して第4戦ロシアGP、第6戦モナコGP、第11戦ハンガリーGPでポールポジションを獲得しています。比較的中低速レイアウトに見受けられます。
各サーキットで全長や速度差もありますから、トップタイムを100として、ギャップを割合換算にしてみました(こちらも同じくトップタイムはQ3で計上されていますが、下位チームはQ1やQ2タイムも採用しているため、本来の同列比較にはなりません)
が、下位チームに多少の変化はあるものの、基本はタイムギャップと似たり寄ったりですね。思い描いていた軌跡になりませんでした。算出方法を間違えてたかな?!遅いタイムも足切りとなる「107%」は上回っています。ちなみに、グラフからとてつもなくはみ出ている第10戦イギリスGPのザウバーはQ1のウェット環境のタイムであったためです。念のためフォローを(笑)

《予選タイム向上比》
このネタはシーズン終了時に改めてやろうと考えていたものです。キリがいいので前半戦でみておきたいと思います。ぺったんこに前や後ろや横に伸ばされた今シーズンのF1マシンが果たしてどの程度早くなったのか、こちらも予選トップタイムからの比較になります。赤が昨シーズンの予選トップタイム、青が今シーズンの予選トップタイムで黄色が今シーズンの予選平均タイムになります。平均タイムは昨シーズンと近似ですが、トップタイムになると全てのサーキットで更新されて早くなっています。平均すると-2.38秒早くなったことがわかります。当初は3〜5秒のラップタイム向上を狙ったとのことですが、いくら何でもそこまで減ったところはないようです。参考として昨シーズンと今シーズン開幕前のカタロニア合同テストのソフトタイヤ最速タイムも追加しています。春先より本番の方がエアロパーツの改良やマシンへの順応もあってか、タイム更新はできていますね。

《予選の各チームの速度差》
続いてスピードトラップでの速度比較です。こちらは昨シーズンと似た線形を辿ってます。モナコは各チームひときわ速度が落ち込みます。参考までに最高速と最低速(厳密には「最高最低速度」)をチームの色で表記しています。黒がウィリアムズ、赤がフェラーリ、青緑がメルセデスになります。一方でオレンジは、、言わずと知れたチーム。四角で囲った数字は最高速と最低速の差です。平均で13km/h程の差があります。例えば我々が高速道路を100km/hで走行していると、前を87km/hで走る車に遭遇したらどうするか。追い越し車線からかわしますよね。そういうことです、かわす(かわされる)しかありません。同じカテゴリーでやっていて同じ地点でその差がある。そりゃ不満も言いたくなります。前半の11戦で最も速い記録は第7戦カナダGPでザウバーが記録した335km/hでした。驚きの一年落ちフェラーリエンジン搭載車です。方や第10戦イギリスGPのザウバーはQ1の記録となりますので、こちらも目をつぶってあげて下さい。

《エンジン別サーキット別予選速度比較》
メルセデスはパワーもあって速い、遅い弱いと言われるルノーやホンダはどれだけ遅いのかの比較です。青緑がメルセデス、赤が2017年型フェラーリ、ピンクが型落ちフェラーリ、黄色がルノー、オレンジがホンダです。うん、確かに速さだけでみたらメルセデスが最多で7サーキットを制しています。フェラーリも3箇所で最高速度を記録しています。ルノーはどうなの?!速度だけでみたら健闘はしているじゃないですか。第7戦カナダGPは惜しい!僅差で型落ちフェラーリを積むザウバーに負けてしまっています。では問題のホンダは?!うーんロシアとイギリス以外の9箇所で1番です。1番ですよ、すごいです。

《予選速度向上比》
タイムは全てで早くなりました。それでは最高速度はどう変化したのかみてみます。
蓋を開けると、全てのサーキットで速度は落ちています。最も速度低下したはテストで散々走り込んでいる第5戦スペインGPの-15km/hで95.6%に落ち込んでしまいました。タイムは向上したのに速度は落ちている。今シーズンのレギュレーションはシャシーがワイドでダウンフォース量は上がり、タイヤもワイドとなってグリップアップしましたが、コーナーの処理速度向上がラップタイム向上に繋がっているわかりやすい傾向です。F1に詳しくない方からよくある「F1マシンより速く走れる車は世の中に結構あるよね?」という質問に対する「200km/hを超える速度での加速力やコーナーがあるサーキットでは最速だよ」という回答がより色濃くなっています。F1マシンは(速度が)速い車ではない、(加減速やカーブが)早い車なんだ、と。

今回は予選のタイムと速度を中心に各チーム、各エンジン、各サーキットなどを振り返ってみました。想像の範囲内っちゃ範囲内でしたが、数字やグラフで視覚化した方がギャップもわかりやすいですよね。次回はまた違う視点から前半戦を振り返る予定です。
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