今回は直前に過去のGPを振り返ることができなかったので、こちらはちゃんとやってあげたいと思います。何せF1の始祖ですからね!
《国の基本情報ほか》
国名称:グレートブリテンおよび
              北部アイルランド連合王国
  人口  :6320万人(世界第22位)
  面積  :24万5千㎢(世界第76位)
  設立  :1801年にグレートブリテン王国と
               アイルランド王国が合併
主言語:英語
  首都  :ロンドン
  通貨  :スターリング・ポンド

F1開催期間と数:1950〜(68回目)
開催サーキット:シルバーストン、
イントリー、
                             ブランズ・ハッチ
F1ドライバー数:157人
F1チャンピオン:10人(クラーク、サーティース、
                                        スチュワート、
                                        ハント、バトン、G・ヒル、
                                        D・ヒル、ホーソーン、
                                        マンセル、ハミルトン)
現役ドライバー:2人(パーマー、ハミルトン)
著名ドライバー:クルサード、ハーバート、
                             ワトソン、アーバイン、モス

イギリスはF1の初戦を飾るだけあって、他とは一線を画する伝統と歴史、携わった数多くのドライバーやチーム(コンストラクター)があります。今でこそ経済はアメリカが世界の中心に位置しますが、中世まではこのイギリスが世界中に多くの植民地を統治し世界をリードしてきました。
この国を「イギリス」と呼ぶのは日本だけです。国名に「グレート」やら「および」やら付きつつ、長たらしい正式国名は「UK」なんて簡単に短く略されたりします。United Kingdomを直訳すると「連合王国」ですね。どことどこの連合?なんて言わなくても、グレートな「イギリスに決まってる」と言い切れる、カッコいいですよね。なぜ日本はココをイギリスと呼ぶようになったのか。Englandのポルトガル語にあたるIngles(イングレス)からオランダ語のEngelsch(エゲレス)を介してイギリスと変化して定着したようです。ハミルトンに「あなたはイギリス人ですか?」と尋ねても首を傾げられるか無視されそうですね(笑)
イギリスの国旗も連合王国であることを象徴しています。
イングランドの国旗+スコットランドの国旗
+北アイルランドの国旗=ユニオンジャック

と呼ばれる旗が完成します。サッカーが好きな方や一昔前のクルサードのヘルメットデザインを見ると、イギリス国内でも細分化して自身の出身を掲げるケースを目にしますよね。

イギリス人F1ドライバーは史上最多の157人輩出し、うち10人がチャンピオン経験者で複数回獲得している者も多くいます。チーム(コンストラクター)も含めても多いため、表彰式でイギリス国歌が流れる機会も多く、イギリス、イタリア、ドイツあたりは流れれば判別したり鼻歌できるくらい覚えてしまっている方も多いのではないでしょうか。我が国「君が代」が流れる日がまた来るといいですね!
《シルバーストン》
  所在地 :イギリス ノーサンプトンシャー州
州域人口:63万人
州域面積:2364㎢
標準時差:UTC-1:00 EDT(日本から-8:00)
  F1開催 :1950〜54〜隔年〜60,
                  63〜隔年〜85,87〜(51回目)
一周距離:4.649km(50,51)
                  4.711km(52〜73)
                  4.719km(75〜85)
                  4.778km(86〜90)
                  5.226km(91〜93)
                  5.057km(94〜95)
                  5.072km(96)
                  5.141km(97〜09)
                  5.891km(2010〜)
初代優勝:G・ファリーナ(アルファロメオ)
最多優勝:A・プロスト(5回)
最多P.P. :クラーク、マンセル、D・ヒル、
                  アロンソ、ハミルトン(3回)
最速P.P. :1分43秒400 F・ゴンザレス(1951)
                  1分16秒300 R・ピーターソン(1973)
                  1分05秒591 K・ロズベルグ(1985)
                  1分18秒965 N・マンセル(1992)
                  1分18秒233 K・ライコネン(2004)
                  1分29秒287 L・ハミルトン(2016)
最多F.L. :N・マンセル(6回)
最速F.L. :1分44秒000 G・ファリーナ(1951)
                  1分18秒600 J・ハント(1973)
                  1分09秒886 A・プロスト(1985)
                  1分22秒515 D・ヒル(1993)
                  1分18秒739 M・シューマッハ(2004)
                  1分30秒874 F・アロンソ(2010)

名前と旗だけでここまで来てしまいましたが、シルバーストンに絞っても書けることが山程になってしまいます。
シルバーストンは元々戦中に空軍の爆撃機が離発着するための飛行場でした。テレビではなかなか滑走路の様子まで見ている余裕はありませんが、航空写真でみると今でも滑走路の様子(下図のピンクの直線が滑走路)が伺えます。F1開始直前の1948年から本格的なサーキットとして長らくイギリスGPを支えています。
高速かつテクニカルなレイアウトのシルバーストンもこれまで実に多くの改修や改良が行われてきました。細部にわたる全てを示すスペースも知識もありませんが、目立った変更を色分けして作図しました。赤い①が当初のレイアウトです。子供のパズルにありそうな分かりやすい形状で確かに高速そうです。茶色ラインの②はWoodcoteにシケインが、緑の③ではLuffieldが設けられました。続く灰色の④になるとBeckettsがS字の一部に変更されたり後半セクションが入り組んだコーナーを取り入れるように変わり、現在に近い姿になっていきます。水色の⑤でしばらく定着していましたが、2010年にさらに改良を加え、左コーナーだったAbbeyを右コーナーとし、滑走路を使用したするルートを採った関係でBridgeはルートから外れました。また、2011年からスタート位置が当初あった位置に近い、Abbeyの手前に移設されたことで、スタート直後の高速右の1コーナーCopseは周回の中盤となり現在に至ります。オールドファンや解説の片山右京もまだ慣れないようですが、1コーナーはAbbeyです。度重なる変更によって、名前は一応比較のために重ねてみると、グチャグチャしちゃってやっぱりよくわからないですね(笑)微妙な線のズレや歪みはご容赦下さい。
シルバーストンはサーキットの成り立ち上、最高点と最下点の標高差11mと比較的平坦な環境です。それもあって風の影響がどこでどう出るのかの読みとセッティング、改良されたとはいえ高速の要素は各所に残っていますからリズミカルなラインどりを必要とします。

《エイントリー》
  所在地 :イギリス マージーサイド州
州域人口:137万人
州域面積:645㎢
標準時差:UTC-1:00 EDT(日本から-8:00)
  F1開催 :1955〜隔年〜61,62(5回)
一周距離:4.828km
初代優勝:S・モス(メルセデス)
最多優勝:S・モス(2回)
最多P.P. :S・モス(2回)
最速P.P. :1分53秒600 J・クラーク(1962)
最多F.L. :S・モス(3回)
最速F.L. :1分55秒000 J・クラーク(1962)

シルバーストンの合間を縫ってエイントリーでもF1が行われてきました。地元出身で無冠の帝王、さらに今も存命のS・モスが強さをみせました。現在は競馬場とゴルフ場として使用されています。

《ブランズ・ハッチ》
  所在地 :イギリス ケント州
州域人口:178万人
州域面積:3500㎢
標準時差:UTC-1:00 EDT(日本から-8:00)
  F1開催 :1964〜隔年〜82,83〜86
                (イギリスGPとして12回)
一周距離:4.265km(1964〜74)
                  4.207km(1976〜86)
初代優勝:J・クラーク(ロータス)
最多優勝:N・マンセル(2回)
最多P.P. :N・ラウダ、N・ピケ(2回)
最速P.P. :1分19秒700 N・ラウダ(1974)
                  1分06秒961 N・ピケ(1986)
最多F.L. :N・ラウダ(4回)
最速F.L. :1分21秒100 N・ラウダ(1974)
                  1分09秒593 N・マンセル(1986)

ヨーロッパGPよりも前にイギリスGPとしてこちらもシルバーストンと交互開催されていました。先日載せたコース図とは似つつもコーナー名とバックストレートのRを微妙に変えています。よかったら比較してみて下さい。

シルバーストン以外はサラリと通過してしまいました。シルバーストンでのイギリスGPは2027年までの開催できる契約があるものの、開催権料引き上げに伴い、2019年いっぱいで早期に打ち切り、ロンドン市街地で開催される可能性があります。市街地コースを増やして収益増加を目論むF1現オーナーのリバティ・メディアに対立する古き良きオールドサーキットの生き残りや如何に?!