2017年シーズンは第8戦を終えてベッテルが3勝6表彰台の153ポイントでランキングトップ。ハミルトンが3勝5表彰台の139ポイントでランキング2位。ボッタスが1勝5表彰台のランキング3位、リカルドは1勝4連続表彰台のランキング4位と続いています。前戦のアゼルバイジャンGPではポールポジションから逃げ切ると思われたハミルトンがアクシデントとインシデントの両方に見舞われて頭一つベッテル優位でチャンピオン争いが進行していますね。
これから本格的なヨーロッパ連戦を控えるにあたり、今後のシーズン展開と予想される懸念事項をまとめてみました。

こちらが先程書いた2017年シーズンの上位三強、6人のポイントグラフです。ベッテルとハミルトン共に無得点に終えたレースはなく高得点をコンスタントに積み重ねています。またライコネンとフェルスタッペンはこの2,3戦はポイントを稼ぐことができず、一方でリカルドが連戦表彰台から二強の合間をつく優勝と復調がみられます。

チャンピオン争いについて、全戦ポイント付与となった近年20年をみると、前にも何回か書いたように1994,03,07,08,10,12,16年では最終戦まで僅差でチャンピオン争いが続きました。
昔は今のようなレース数もなく、シーズンの半ば。第8戦終了後にひっくり返るケースもいくつかあり、今シーズンの場合、残り12戦もありますから現時点で既にチャンピオン争いが2人に絞られたと断言できるタイミングではありません。グラフの軌跡だけみていくと2016年みたいな感じになりそうでしょうか。流れや勢いから考えると、チャンピオン争いに関われるのは現時点の上位4人ではないかなと考えます。混戦模様でそれもチームの垣根を越えた争いとなれば、一層盛り上がりますよね!こんなシーズンを待ってました!

皆さんご存知の通り、アゼルバイジャンGPのセーフティカーランの最中にベッテルがハミルトンに追突し、その後ベッテルが暴挙に出る事件が起きました。ベッテルにはレース中の10秒ピットストップペナルティと、ペナルティポイント3が与えられました。現在9ポイントで12ポイントになると翌戦に出場停止になります。次のオーストリアGPで加算がなければ昨シーズンのオーストリアGPで加算された2ポイント分は消滅し7ポイントになるものの、ベッテルにとっては今後アグレッシブな攻めに躊躇してしまいそうです。
さらにFIAはこの件について審議を行なっており、ベッテル30歳の誕生日である今日7月3日に聴聞があります。最悪、2017年シーズンのポイント剥奪や数戦の出場停止がペナルティポイントと関係なく下される可能性もあります。やっとメルセデスと対等に近い戦闘力を持つマシンを手にし、ランキングトップで突き進む中の二重苦、三重苦になりそうです。

過去に出場停止で危機的な立場になったケースがいくつかありました。近年ではこのブログでも何回か話題にしている1994年もそうでした。セナに代わってウィリアムズを背負って立つD・ヒルは序盤でなかなか奮わず、若手のM・シューマッハがベネトンB194と共にシーズンを牽引していきます。その優位さに水を差したのはシューマッハ自身でした。
第8戦イギリスGPではフォーメーションラップ中にポールポジションのヒルをかわして黒旗提示され、それを無視する悪態に対して第12戦イタリアGPと第13戦ポルトガルGPの出場停止が後日下されました。第11戦ベルギーGPではマシン底部のスキッドブロック規定違反で大事なヨーロッパラウンドを4戦も棒に振ることになりました。チャンピオン争いは最終戦までもつれながらも結果的にはチャンピオンをモノにしたシューマッハ。それまでの貯金と停止明けの走りが功を奏しました。仮にそれらがなければ、シューマッハが単に独走の退屈なシーズンだったかもしれません。

もし即日ペナルティを消化したベッテルにこのような厳しい裁定が下っても、この時のシューマッハのような余地はありません。背後にしっかりとハミルトンがついています。


さらに誕生日を迎えるベッテルに追い打ちをかける悪い話をすると、現在のレギュレーションに組み込まれる「パワーユニット交換ペナルティ」の心配がライバルより早く訪れる可能性も残っています。
これは第8戦終了時のエンジンユーザー別個人パワーユニット交換数になります。トークンによる改良制限は無くなりましたが、エンジンそのものをはじめ、周辺機器5種類のいずれかが5基目となるとスタートグリッド降格ペナルティがあります。全20戦を4基でこなすには5レースに1基使用するのが理想的となり、多くはどのコンポーネントも2基目に留まり、セオリー通りこなしている様子が伺えます。
エンジンユーザー別にみると、ターゲットとなるハミルトンを含めたメルセデス勢はパワーで勝る上に故障や交換が少なめです。フェラーリ勢はルノー勢に比べて少ないですが、この話題が尽きない某エンジンメーカー2人は別として、ベッテルのエンジンは既に4基目です。次にエンジンを交換したら、予選10グリッド降格となります。これからは暑い夏、そしてオーストリア、イギリス、ベルギー、イタリアとハイスピードのパワーサーキットが続きます。どうするベッテル?!

ハミルトンが普通にチャンピオンではつまらない、誕生日を前に順調にチャンピオンシップを牽引するベッテルを贔屓してあげたいところですが、ここにきて大ピンチです。この記事を書いた時点ではFIAからの裁定は下っていませんが、いい誕生日、そして三十代初年を迎えられるかどうか、偉大な同郷の先輩と同じような難題を抜け出せるかは今日の聴聞と今後の走りにかかっています。

だから、そういうのするんじゃない!!(笑)