出張で盛岡に来ています。東北の方、お邪魔します。
休憩がてらちょいちょいやってる「F1用語の深掘り」は今回5回目。また基礎的な5単語を挙げて掘っていきます。

サーキット
Circuit(英語)
F1のみならずモータースポーツの舞台となるサーキット。直訳は(電気)回路です。電池にはじまり、様々な抵抗(灯り、熱源や動力源)を通過してまた電池に戻るアレ。理科の時間で昔習いましたね。アレが切れてると電気は流れません。あとはご存知「周回競技場」です。繋がっていなければゴールできません。
単語の綴りからして「円」を意味するCircleによく似ています。電気回路も周回競技場もスタートとゴールが繋がって円状になっています。首都高速の2つの環状線のナンバリングの頭文字「C」はサークルのCです。
円のCircleと「材料、道具」などを意味するKitを合体させてCircuit「円をなすもの」みたいな感じかなと思って調べると、語源はラテン語でCircum(丸く)+ire(行く)+tus(過去分詞形)=Circuitus(丸く行った)から来ているようです。なんだ、ケチをつけるわけにはいかないけどCircle+kit=Circuitの方が、いいな(笑)
サーキットの多くは外部の交通を遮断して独立した周回とするため、交差交通や対向交通を気にせず、スピードに特化した走行を可能とします。元来は滑走路や高速道路の一部を活用(その逆もあります)して開設されていましたが、ご存知の通り自然の起伏を利用した縦勾配、走行に難易度を持たせるため曲率半径を変化させて設計した横勾配(カーブ、コーナー)や遠心力に耐えるべく高速走行の助けとなるバンクを設けて、多種多様なサーキットが全世界に点在しています。モナコをはじめとした「市街地サーキット」は普段は一般の交通が行き交う道路を閉鎖して設ける簡易サーキットです。レースの行われない時は普通に歩いたり転んだり触ったりできます。立地やアクセス、安全性や予算など、様々な理由でレースの行われるサーキットは増えては減り、と入れ替わりを繰り返しています。また、難易度や特性も多岐に渡ることでグランプリを盛り上げ、ドラマを生み出してくれてます。
似た言葉に陸上競技でお馴染みのTrack(トラック)があります。サーキットと同様に周回競技場ではありますが、違いは「楕円状(オーバル)」だとトラック、それ以外をサーキットとしているようです。さらにトラックは陸上競技もインディカーも左回り(反時計回り)が基本とのこと。確かにインディ500はオーバルを反時計回りで使用し、F1のアメリカGPでは右回り(時計回り)で使用しました。余談ですが陸上トラックって逆走するとコーナーでコケそうになりますよね?!(笑)
最後にオマケで英語以外のCircuitを挙げておきます。
   ・フランス語:Circuit  (シルキュイ)
   ・イタリア語:Circuito(チルクイト)
   ・スペイン語:Circuito(シルクイート)
   ・中国語       :賽車場  (サイシャジョウ)

チャンピオン
Champion(英語)
みんななりたいヤツです。みんなこれを夢みて日々頑張っています。意味は「(権利主張のための)闘士、決闘、優れた者、優勝者」であり、他には「(権利主張のために)擁護する」という意味もあるとのこと。堀内孝雄や谷村新司という意味はないようです。
語源はこちらもラテン語のCampus(野原)で「野原での争い(で権利主張する)」から来ています。大学構内をキャンパスと覚えていましたが、元の元は野原なのか、なるほど。大学構内紛争は「Campus campus」とかになっちゃったり?!何だかSMAP × SMAPみたいだ。
冗談はさておき、昔も今も「争って勝ち得た者」という意味は変わりません。世界中を転戦、年間で争い、優勝やポイントを重ねてその争いを制し、王者の権利を主張する。それがまさしくワールドチャンピオンシップですね!

グリッド
Grid(英語)
たまにグリットと呼ぶ方がいますが、グリッドです。本来の意味は「格子、網、碁盤の目、区画」になります。デザインとかで格子模様をグリッドパターンといったり、建築・土木では街並みや区画をグリッドと呼んだりします。モータースポーツでは整列してスタート位置に就かせ、優劣のないよう「平等」になるようにします。F1は3台ずつ並ぶ時代や今では千鳥状(互い違い)に2台ずつズレるようグリッドを設けています。
以前「深掘り①」のレコノサンスラップでも書いた通り、国歌斉唱の前の決勝で初めに就くグリッドはあくまで「仮」のダミーグリッド。チームクルーとの最後の打合せや微調整を終え、フォーメーションラップを行ってから就くグリッドは「正式な」スターティンググリッドと呼ばれます。順番を抜かしたり、グリッドから前にはみ出たりすると反則としてペナルティが下ります。基本的に路面が綺麗な「走行ライン側のグリッド」が予選順位奇数側に割り当てられます。

ラップ
Lap(英語)
いわばライバルを突き放す貯金、勝利への命綱。
ラップという言葉は色々な用途にあります。音楽のラップは「社会に投げ掛けるリズミカルな語り」のRap。「遅く帰宅するパパの食事をうま味を逃がさず包んであげる」のはラッピングフィルムのWrap。水泳であれば1往復、陸上競技はトラック一周や一定距離を走る時間、区間タイムを表すLap。自身、学生時代は陸上競技、社会人になってから自転車競技をやっていたので、ラップタイムは身近です
言わずともF1のラップは3番目のLapです。LとRを間違えて書くと、ハミルトンがキャップを斜めに被り踊り出しそうなので気をつけましょう(笑)ちなみにLapは建築業界なんかでは「重ね被せる」という意味でも使います。
F1は見た目の順位(トラックポジション)だけでなく、側にいない戦略の異なるライバルとはラップタイムで出来や指標を見出し調整を図り、規定周回数に至るまでに前に出られるように気を配る必要があります。給油のない昔は燃料タンクが軽くなり、走行ラインのラバーが路面に乗れば、終盤になるにつれラップタイムは向上するものでした。しかし近年はタンク軽くなってもタイヤのタレ方で大きくタイムを落とし、ムキになって飛ばすと燃費が悪くなったりタイヤを早くダメにしてしまうので、タンクは軽くなるも一概に終盤が一番早いとも言えなくなってきています。単にラップタイムが早くても優勝が確実となるわけでもないし、現在はポイントも得られません。ファステストラップは「本当は早く走れるんだぞ!」のアピールに過ぎません。面白いのは優勝でも表彰台でもポールポジションでなくてもファステストラップは「何位であっても歴史に名を残せる」一つとなっています。

ピット
Pit(英語)
入るとロスするようで、入らないと結果ロスをしてしまう複雑な位置づけ、ピットです。ドライコンディションの場合は決勝でタイヤ交換が必須のため、必ず1回は入らなければなりません。こちらも前回「深掘り④」のコクピットで軽く触れました。直訳は「穴、窪み」です。実際のピットが窪んでいたら困ってしまいます。モータースポーツ界では「車両整備場」を意味します。
ピットはタイヤ交換をはじめ、ウィングの角度調整や交換、過去には給油やF1でもドライバー交代が行われいた時代もあります。それらがピットアウトしてマシンの特性や調子をガラりと変え、順位を変え、数多くのドラマを生み出してきました。時にはタイヤの接続不良で他チームのクルーを怪我させてしまったり、給油時に火災を引き起こしたりクルーを轢いてしまうなど、ドライバーだけでなくクルーに対してもアクシデントや事故を起こすこともあります。秒単位で競うF1、ピットストップやピットクルーも秒単位で安全かつ迅速にレースを行う上でとても重要な任務をこなします。
派生語としてピットに入る行為をピットイン、ピットから出る行為をピットアウト、またピットと本線の誘導路はピットロードと呼ばれ、ピット前の通過速度は80km/hに制限されています。

今回は所々脱線が過ぎてしまいました。また5つ単語が整ったらやりたいと思います。