次はロシアGP。いつもは週末に行われるGP前に過去のGPを振り返っていますが、ロシアGPは「ついさっき」開催されたばかりでまだ記憶にあることと思います。それならばと今回は2018年に念願の復活が決まった1990年のフランスGPを振り返ります。フランスGPといえば最近はマニ・クール、そして今回は復活を遂げるポール・リカールを選びました。

ポール・リカールは地名でなく人名です。それも自動車業界やドライバーでもない酒造メーカーの創始者からとっています。サーキット自体はマルセイユやモナコにも近いフランス南部の田舎にあります。古くは長いストレートを有するライフルの様な形をした一周5.8kmのサーキットで、2018年も同様のレイアウトで予定されていますが、1986年にE・デ・アンジェリスの死亡事故によって3.813kmの簡略的なレイアウトに変更され行われました。一周が短いため、周回数はなんと80周でした。目が回りそう。。

全16戦の6戦を終えて、セナが4ポール、ベルガーが2ポールと全てでマクラーレンが予選を制するも、決勝はフェラーリのプロストに2つ、ウィリアムズのパトレーゼに1つ優勝を奪われる形となってマクラーレンの一人勝ちを阻みました。

ウィリアムズはこのフランスからFW13Bの改良型を投入。ノーズはどこかで見たことあるこの形。プロストサスペンションのロッドの根元に装着したコイルスプリングの影響です。

予選はマクラーレンの流れを断ち切るフェラーリのマンセルがシーズン初ポール。4位にはしっかり地元のプロストがつけてマクラーレンVSフェラーリの構図です。日本人ドライバーはローラの鈴木亜久里が13番手、ティレルの中嶋悟が14番手で続いて、予備予選落ちは無し。

《予選結果》
1 N・マンセル(フェラーリ・F・GY)
2 G・ベルガー(マクラーレン・H・GY)
3 A・セナ        (マクラーレン・H・GY)
   ※GYはグッドイヤー


スタートは3番手セナが若干鈍めで5番手から好スタートを決めたベネトンのナニーニに並ばれてしまいます。また、地元で4勝して滅法強い4番手スタートのプロストは珍しくミスして6位まで順位を落としました。
2周目に早くもベルガーがマンセルを捕らえてトップに。続いてセナもマンセルを抜いてマクラーレンは早い段階でワンツー体制を築いてきます。

教授はスタートのミスに動じません。ハードタイヤで5番手に上がったウィリアムズのパトレーゼにピッタリくっついて離れません。しかしトップのマクラーレンに逃げられても困ります。そこで予定よりも早めにピットへ。7.64秒。

トップのベルガーはタイヤがタレ始め、セナやマンセルに近付かれてしまいます。ベルガーはセナに前を譲り、たまらずタイヤ交換へ。しかしココでマクラーレンのピットは大失態を犯してしまいます。左リヤタイヤの装着に手間取り、停止時間は12.73秒。
続いてセナもピットイン。なんと16.62秒!時間かかり過ぎ!思わず数字までデッカくなっちゃいました。近年はタイヤのみで2秒台だ3秒だと競う時代。昔はこんな感じでした。にしても、フェラーリのプロストと比較しても無駄な時間をかけ過ぎました。犯人はいずれも左リヤのこのホイールガン、これはもはや処刑モノです。

この年のフランスGPの最大の注目点はココから!スタート直後に順位を落としたフェラーリやホイールガンに泣いたマクラーレンといった名門を尻目に、ピットストップ無しの戦略を目論んだレイトンハウスがワンツーとなります。レイトンハウスはマーチを買収した日本のアパレル系コンストラクターです。カペリがトップ、グージェルミンが2位に上昇してきました。若きエイドリアン・ニューウェイの過激作CG901がド派手な水色をまとってプロスト教授を抑え込んでいます。

ただ驚きの時間は長く与えてもらえませんでした。グージェルミンが力尽きてしまいました。80周レース、カペリは逃げ切れるか?!
来ましたよ、教授が!フランスの英雄ですよ!まだ抜いていないのに歓声がすごいです。結果は、、、。


《決勝結果》
1 A・プロスト(フェラーリ・F・GY)
2 I・カペリ     (レイトンハウス・J・GY)
3 A・セナ       (マクラーレン・H・GY)
   ※Jはジャッドエンジン

残念!主役はプロストでした。チャンピオンは最後となるポール・リカールも確実に勝ってきます。容赦ありません。その後、先日振り返った第15戦日本GPの「あの1コーナー」が起き、1990年のチャンピオンはセナに。このレースでカペリが踏ん張っていたら、日本GPも違った形で迎えたかもしれません。プロストはポール・リカールに続くマニ・クールでも1勝し、フランスGPは通算6勝。そして政治的な働きかけも使いつつ苦労してルノーと共に「母国GP」復活に貢献しています。
ちなみに2018年フランスGPのコースレイアウトはこんな感じが予定されています。元来のライフル型になりそうです。