F1の2016年シーズンが終わり、シーズンのおさらいする前に、せっかく1/3、2/3のタームで見てきたので3/3も見ておきたいと思います。予選でチェックしていた「トップと他チームの差」と「予選時スピードトラップ通過速度」のグラフからです。

《予選トップタイムと各チームの差》
予選結果で整理した1/10秒で丸めたトップタイムと他車の差になります。初めは開幕戦から最終戦アブダビGP全てをザックリと。
開幕時から最終戦までにサーキット毎の出っこみ引っ込みはありますが、トップとビリの差は縮まっています。変な予選方式だった序盤と終盤のシンガポールGPの差が大きく、あとはどこも似た序列で上下に推移して見えます。第13戦ベルギーGPが最も接近したタイム差でした。全長の長さとハイスピードで全開率も高いこともあって、差が薄まるのかもしれません。

2/3まとめで行ったのと同じ「上位5チーム」だけの抜粋です。指標になればと近似カーブを破線で入れてみました。この5チームでは完全に3つのグループに分かれてしまっています。トップのメルセデスはモナコGP以外はトップを譲らずの独走。2番手グループは序盤を除いてレッドブルが概ね0.5秒後方の位置、フェラーリは平均的に見てメルセデスに付かず離れずの0.8秒後方が平均でしょうか。予選から前に出て、戦略でも思い切るレッドブルに対して、予選もイマイチ、決勝の戦略なんかあったモンじゃないフェラーリ。チームもドライバーも完全に名前負けしてます。
3番手グループの前半はウィリアムズ、ヨーロッパ連戦はフォース・インディアと白熱した力関係を争い、終盤は完全にフォース・インディアが4番手チームで決まりました。ウィリアムズはタイヤとの相性にも難があり、結果ボッタスの株も近年暴落している気がします。一方フォース・インディアは我慢の走りとたまにみせる切れ味が売りのペレスと、市場評価の高さがいまだに理解できないヒュルケンベルグです。以前いた「ハイドフェルドよりも下」のキャリアで消える匂いがしてならない(笑)

続いて3/3期の全チーム版です。ウィリアムズは終盤ダレたためマクラーレンにダラダラ詰められています。えんじ色のハース、いい時と悪い時の差が大きい!トロ・ロッソも尻すぼみでした。最終戦アブダビGPは散々でしたもんね。


《予選(一部決勝)の各チームの速度差》
これは予選時のスピードトラップ通過速度です。ただし今回はスピードトラップについて数字をちゃんと追えておらず、欠けていたり決勝のデータを無理矢理充てたりしているため、いつも以上に参考として見てもらえればと思います。
全シーズンを通しでみると、イタリアよりもメキシコの方が速いんですね。今年のメキシコGPではウィリアムズのボッタスがF1最高速度記録を更新しました。高地で空気は薄いけど、抵抗も少ないんでしょうね。長い直線もあるし。スピードトラップでのF1平均速度は325km/h位になりそうですね。

最後はエンジン別比較です。今回は事情により速度差ではなく、比率にしています。無残なデータ収集がみっともないグラフになっています。スミマセン。。
ハースがブラジルGPでメルセデスエンジン勢を唯一上回ったので速度的には勝ちました。レースには負けてるけど(笑)
ホンダはルノーと速度的には対等かなとみれます。次に目指すはフェラーリエンジンですね!シーズンオフの働き甲斐によります。

《目を惹く活躍、目に余る失態》
毎度のことですが終盤もフェルスタッペン飛躍と批判と賞賛に尽きると思います。今年のチャンピオン争いに負けず劣らずの話題っぷりで、それが数戦でなく毎戦ですからこの若造の進歩や将来は楽しみなようで恐ろしいです。パッシングの勢いもさることながら、驚いたのは最終戦アブダビGPの最後尾からのリカバリーがすごいと思いました。序盤のアクシデントでピットが1回少ないこともありますが、タイヤが苦しい苦しい言っても一時期は3番手まで上げてきました。最速メルセデスなら驚かない、往年のM・シューマッハが追い上げた例もあるけど、それを「2年生」がやってのけようとしていた。先輩のリカルドやベッテル、ライコネン相手にやれちゃうのが末恐ろしい。タイヤとの相性をみても、下手ではないリカルドをみていてもアブダビGPはレッドブルに有利に働くものには見えなかった中でしたもんね。
リカルドもマレーシアGPで1勝をあげました。ハミルトンのエンジンブローのチャンスを確実にもぎ取り、遠くからでも狙った獲物にドカンと踏み込めるテクニックを持つドライバーです。レッドブルの2人は将来が楽しみなドライバーです。
3/3シーズンだけをみると行き先をさっさと決めたルノーのマグヌッセンに対してパーマーも存在を見せる走りができていたのではないでしょうか。やっぱり二世だマネーだだけでF1を生き延びるのは寂しいです。

失態はこちらも相変わらずフェラーリです。問題はドライバーよりもマシンよりも戦略でしょう。昔からフェラーリはあまり「みっともない真似はしない」言い換えれば、リスクや冒険も好まない、どこか安全牌な、保守的な、もっと言えば殿様商売的な立ち位置が拭えない部分があります。2000年代初頭の「最強時代」はM・シューマッハ1人だけが優れていたわけではなく、賢い戦略もあって速いウィリアムズやマクラーレン、ルノーとしのぎを削っていました。「フェラーリらしい」そのやり方では、頭一つ出た優れたマシンを持つチーム、若さと一か八かの賭けができるチームに当然チャンスが流れてしまうのは、戦略家ではない、計算に強くないこんなマニアでも簡単に想像できます。みっともない真似をしないことがアンダーカットを易々と許したり、ホイールナットの不完全装着なんてしませんよね。いい素材、ドライバーやデータ、ファクトリーを持っているのですから「生業としての本気」に世界中のファンが期待しているはずです。


詳しく考察できているわけではありませんが、2016年の終盤を振り返ってみました。後日、昨シーズンでもやった「数字」を使ってシーズンをみれたらと思います。