このマシンをいつネタに出そうかなと温めてきましたが、先日書いた「タラレバF1」での試算でチャンピオンがひっくり返ってしまいがちだった1988年「マクラーレンMP4/4」をいよいよ取り上げます。ひっくり返ったとはいえ、A・セナからA・プロストなので、結果このマシンがチャンピオンには変わりありませんが(笑)

先に戦績を話してしまうと、1988年シーズン全16戦15勝で勝率93.7%を誇る超有名な記録を持つ、歴代マクラーレン最強のマシンです。この勝率だけでいくとマクラーレンどころか歴代F1最強マシンと言っても過言ではないくらい。


《設計》
ゴードン・マーレー
スティーブ・ニコルズ


《外見》
先代MP4/3に比べてより低重心の扁平なものとなり、TAGポルシェからホンダにエンジンをスイッチし、実はかなり突貫で製作されたマシンでした。低重心化を狙い、先代からのフロントサスペンションのプッシュロッドをプルロッドに改良してきました。
また、ブラバムから移籍してきたゴードン・マーレーが最後に手がけたF1マシンとなり、以降市販車の「マクラーレンF1」のプロジェクトに参加していきます。

エンジンはウィリアムズで成功を収めていた第2期ホンダを採用したこともあって日本では「F1・ホンダ・セナ」を世に知らしめるきっかけになったマシンでしょうか。当時F1はCMや週刊少年ジャンプでも特集されていましたよね。バブリーで活気のあった日本。小学生だった自身もかなりあの時代にF1にどっぷり浸かって、今に至ります(笑)

最強を世に知らしめたこのマシンも「ターボエンジン禁止」間際でした。1.5ℓターボから翌年1989年は3.5ℓNAに切り替わります。まさにいい時期にホンダエンジンとセナを手に入れ、F1最強マシンになりました。デザインだけでいうなら、扁平で猫背っぽいコレよりは個人的に次モデルのMP4/5の方が好きです。

カラーリングはマクラーレンの代名詞であるタイトルスポンサーのマールボロ。アロンソも幼き時代にカートをこれに模すなど、同世代のF1ファンにはカッコよく見えたのではないでしょうか。この全体マールボロのカウルは今のマシンと異なり、フロントウィングやノーズからリアウィング手前まで一気に被せるものでした。写真はミニ・チャンプス1/18セナコレクションのダイキャストですが、タミヤの1/20のプラモデルだとディテールまでよくわかります。


《エンジン》
ホンダRA168E
IHI製ツインターボ(過給圧2.5バール制限)
V型6気筒・バンク角80度
排気量:1,494cc(推定)
最高回転数:12,500rpm(推定)
最大馬力:685馬力(推定)
スパークプラグ:NGK
燃料・潤滑油:シェル

《シャシー》
全長:- mm
全幅:- mm
全高:- mm
最低車体重量:540kg
燃料タンク容量:150ℓ
クラッチ:AP
ブレーキキャリパー:ブレンボ
ブレーキディスク・パッド:SEP
ホイール:スピードライン
タイヤ:グッドイヤー
サスペンション:フロント プルロッド
                                 リヤ    プッシュロッド


《ドライバー》
No.11 アラン・プロスト(全戦)
No.12 アイルトン・セナ(全戦)


《戦績》
199ポイント コンストラクター1位
(1位15回、2位10回、4位1回ほか)
ポールポジション15回

3位は一度もなっていない、ほぼ1位か2位。素晴らしい戦績です。今のメルセデスも勝ち続きですが、より圧倒的です。さらに大抵シーズンで成績に波があるものですが、このマシンに関してはありません。常に強いという、ライバルからみると隙がありませんでした。
唯一優勝を逃したのは第12戦イタリアGPでポールポジションはセナでした。たまたまマンセルの欠場で替わったウィリアムズのJ・シュレッサーを周回遅れにする際に接触し、セナはリタイヤ。プロストは一度ポールポジションのセナの前に出ましたが、エンジントラブルでリタイヤしてしまいました。それがなければ、このマシンが1988年シーズンを全戦優勝していたかもしれません。8勝したセナがこのマシンで初戴冠となりました。


この強さゆえ、ホンダはエンジンサプライヤーとして名を馳せた一方、プロストとセナの仲に亀裂が入り、翌89年や90年の妬みや因縁に繋がってしまったのは悲しい過去です。1チーム2人体制で、1チームだけ突出してしまうと、最近のレッドブルのウェバーとベッテル然り、メルセデスのロズベルグとハミルトン、いつの時代にもある話ですね。


先日から試算している「異なったポイント制」にすると、チャンピオンのセナがランキング2位のプロストに負けてしまっていました。それはこの88年シーズンは「16戦中11戦を有効ポイントとする」としたためで、今のような全戦ポイントとした場合は14戦で入賞したプロストに軍配が上がります。セナはこのポイント制で助けになった1人です。


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