ライコネンの個人的な印象は
・度重なる不運やマシントラブル
・酒豪で表彰台ではまずラッパ飲み
・無口(無愛想)で英語が上手くない
・イケメンで世界的に人気がある
・キマれば非常に速い
・スタートや一発勝負は苦手
といった感じです。有名な彼の特徴ではないでしょうか。無骨そうでかなり繊細な人だと思います。タイヤにも優しく、ロングランも度々こなします。ただ「マシンの出来に合わせる」というより「マシンが彼の好みにキマればとてつもない速さを生み出す」ところもあり、そこが歴代の対チームメイトとの勝ち負けに出る気がします。クルサードやグロージャンには圧勝しても、アロンソやベッテル相手でそうなったのはその違いでしょうか。決して下手でもやる気がないだけでもない、ピカ一の速さを出すに出せていない、出しても報われないことがライバルに比べて過去にたくさんありました。そんなライコネンの特徴や不運を振り返ります。
2001年 ザウバーからデビュー
13年在籍(2010,11年は他カテゴリー)
優勝20回 歴代14位 現役4位
表彰台80回 歴代5位 現役3位
参戦数232戦 歴代8位 現役3位
ポール16回 歴代18位 現役5位
ファステスト42回 歴代2位 現役1位
チャンピオン1回(2007年)
何回か書いていますが、ライコネンの特徴はファステストラップの多さで、現役では2位のハミルトンの28回と比較しても群を抜いています。それは予選での下位位置もさることながら、不運やミスによる後方からの追い上げが必要なケースがライバルに比べて多く、一発で速いラップを築くより、じっくりじっくりいいタイミングを見つけて、ドカンと高速ラップを出す特徴からだと思います。今の予選方式、いわば短時間にマシンの力を「出せ!」と言われて出すやり方より、さらに昔の予選方式、数ラップ走りながら、クリアランスを見つけて「彼なりの準備」が整えられたら言わなくても速く走れている。予選レギュレーションのタイミングが少しズレてしまったあたりからも不運さを感じます。
2001年(ザウバー期)
「試験的デビュー」からハイドフェルドに肉薄。同期はモントーヤに次ぎ、アロンソより上
2002年(マクラーレン期)
同郷のハッキネンの休養と推薦もあり、トップチームのマクラーレンのシートを得る
2003年
初優勝と安定した表彰台登壇で参戦3年目にして最終戦に惜しくもチャンピオンを逃す
初優勝と安定した表彰台登壇で参戦3年目にして最終戦に惜しくもチャンピオンを逃す
繊細で不完全なマシンの出来もあって、ランキング7位に沈む
2005年
最速マシンを手に入れ最多勝を獲得するもシーズン終盤でチャンピオンを逃す
前年の好調から一気に未勝利に終わり、ランキング5位に沈む
2007年(フェラーリ第1期)
シューマッハの抜けたフェラーリに移籍し、最終戦1ポイント差で念願のチャンピオン獲得
チャンピオン争いはチームメイトのマッサに譲り、ランキング3位に沈む
2009年
得意なベルギーGPのわずか1勝に終わり、契約より早く解消してF1を一度去る
ロータスからF1復帰し1勝。復帰1年目でランキング3位
開幕戦で1勝しランキング5位。給与未払いを暴露してロータス離脱
2014年(フェラーリ第2期)
マクラーレン、フェラーリと移籍で因縁だった同期のアロンソとコンビを組むも大敗
私生活で交流のあるベッテルとコンビとなり、未勝利ながら表彰台3回登壇
2003年は優勝1回、2位7回、3位2回で91ポイント。一方チャンピオンのM・シューマッハは優勝6回、3位2回の93ポイントでわずか2ポイント差でチャンピオンを逃しましたが、実は赤旗中断によって幻となった第3戦ブラジルGPの1勝があれば、ポイントは同点となり、チャンピオン争いがさらに熾烈なものでした。ちなみに赤旗中断のきっかけは雨のコントロールラインでクラッシュしたアロンソ(笑)
また2005年は先日の「アロンソ」でも書いた通り、マシントラブルと自身のタイヤマネージメントが引き金で3勝を失っています。こちらは確実に取り10勝していれば、チャンピオンはアロンソでなく、ライコネンの可能性が高かったです。このように2007年以外にも2度チャンピオンを取り逃がしている惜しい面もありました。
面白いのはライコネンの移籍には必ずアロンソが絡む。マクラーレンからフェラーリ(第1期)に移籍する際もアロンソのマクラーレン移籍が決まっていましたし、そのフェラーリ早期契約解消にはルノーからアロンソを迎え入れるという事がありました。同期でチャンピオン同士、その2人が2014年の一年だけコンビを組んだのも彼らのドライバー史には印象的に残りそうです。 様々な工夫や計らい、努力した上で惜敗し、チャンピオンを取り損ねてきたアロンソに対し、ライコネンは争う前の土俵すら整わなかったり、何とか食らいつこうと下位から最速ラップで前に出るのが精一杯。全盛期はこのような戦い方にならざるを得ないというのも特徴というか、縁になってしまっています。
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