コレクションのダイキャストミニカーより今回は2005年のマクラーレン・メルセデスMP4-20です。残念ながらチャンピオンマシンではありませんが、ディテールやカラーリングなど、個人的には歴代F1マシンの中では1,2を争うくらい好きなマシンです。
《設計》 
エイドリアン・ニューウェイ
マイク・コフラン
ニコラス・トンバジズ
《外見》
前作まで段々とハチドリのように鋭利になっていったノーズコーンは再び太くがっしりに戻りました。また空力上支障をきたしたとされていたサスペンションを支えるキールを無くした「ゼロ・キール」を初めて採用し、以降F1界のトレンドになります。
このマシンのさらなる特徴はエアインテーク後方に取り付けられた角のような「ホーンウィング」です。断面は航空機の羽と同じでF1の世界には珍しい、持ち上げる力である「揚力」を生み出し、その適切な風をリアウィングまで伝達させるものとのこと。航空力学を養ったエイドリアン・ニューウェイらしいアイデアです。ちなみにデザイナーのマイク・コフランは2007年にフェラーリのナイジェル・ステップニーと話題になった「スパイゲート」の張本人です。
サイドポンツーンの絞りも一層キツくなり複雑な三次曲線の丸みを帯びています。ミニカーのサイドロゴを撮るのに非常に苦労しました。
カラーリングは引き続き前半はWestタバコのカラーのシルバー・アロー。ただタバコ広告規制国にはドライバーのファーストネームを載せています。KimiやPedroの短いのならともかくJuan Pabloは狭そうでした(笑)Westが撤退し後はジョニー・ウォーカーのロゴになります。マクラーレンの赤のアクセントもカッコよかったのですが、だいぶ減ってしまったのが物足りないかな。1997年から続いたこのカラーリングはこの年をもって終了し、翌年からはクロームメッキの輝くシルバーになります。
主なスポンサーはWest、のちにジョニー・ウォーカーがメイン。他はシーメンス、ケンウッド、いつものモービルなど。

《エンジン》
メルセデス・ベンツFO110R
V型10気筒・バンク角90度
排気量:2,997cc(推定)
最高回転数:(非公開)
最大馬力:920馬力(推定)
スパークプラグ:NGK
燃料・潤滑油:モービル

《シャシー》
全長:−m
m
全幅:−mm
全高:−mm
最低車体重量:600kg(ドライバー含む)
燃料タンク容量:−ℓ
クラッチ:AP
ブレーキキャリパー:AP
ブレーキディスク・パッド:カーボン・インダストリー
ホイール:エンケイ
タイヤ:ミシュラン

《ドライバー》
No.9   キミ・ライコネン(全戦)
No.10 ファン・パブロ・モントーヤ
         (第1,2,5〜19戦)
           ペドロ・デ・ラ・ロサ(第3戦)
           アレクサンダー・ヴルツ(第4戦)

《戦績》
182ポイント コンストラクター2位
(1位10回、2位4回、3位4回ほか)
ポールポジション6回
2005年シーズンからベテランのクルサードに変わり、ウィリアムズからモントーヤが移籍。M・シューマッハに臆する事なく攻めるモントーヤと、成長著しいライコネンとの2001年デビューコンビが「最強タッグ」と話題になりました。2001年から参戦で同期、速さの見出し方の違う2人で面白いコンビだと思います。ただしモントーヤが第3戦バーレーンGP前にプライベート中の骨折で早くもサードドライバーの起用に。また予選一発の速さが見出せず、シーズンの出足でルノーR25に離されてしまいます。
ライコネン7勝、モントーヤが3勝で10勝、ポールポジションは6回獲得し、ファステストラップは12回を数えます。対して最大のライバル、ルノーは8勝にポールポジション7回、ファステストラップ3回とポールポジション以外は上回るものの、結果としてコンストラクターズタイトルを獲得できませんでした。それは速さやパワーに反比例したマクラーレンお馴染みの信頼性の無さにありました。
第4戦サンマリノGP、第12戦ドイツGPとライコネンはポールポジションを獲得しながらリタイヤ。第7戦ヨーロッパGP(ニュルブルクリンク)に至ってはライコネンが最終周までトップを快走しながら、周回遅れのヴィルヌーブをかわす際に作ったフラットスポットからサスペンションを壊してしまうなどの取りこぼしも多く、何よりもエンジン交換によるグリッド降格も響いたのが仇となります。たった数周のランでブローしてしまう事が度々ありました。速いが脆いMP4-20と速さと安定性を誇るR25の大きな差となりシーズン3戦残しでドライバーズチャンピオンもアロンソに決められてしまいます。速さ=強さではない代表作になってしまいました。
クライマックスは先日書いたシーズン終盤の第18戦の日本GP。ライコネンは濡れた路面での予選によって17番手スタートとなりますが、決勝は最終周にルノーのフィジケラをパスする大逆転劇。R25と比較しても本当はそのくらい速いマシンなんです。
ちなみに前年2004年までのチャンピオンチーム、フェラーリはミシュラン勢がボイコットした第9戦以外は勝てず、他は全てルノーとこのマクラーレンによる勝利でした。

第15戦イタリアGPの予選ではモントーヤが記録した372.6km/h、決勝ではライコネンが記録した370.1km/hと今でもこのマシンがF1最高速度記録を保持しています。
最高速度は2016年に更新されており、ウィリアムズFW38がヨーロッパGP予選で378.0km/h、 決勝はメキシコGPのボッタスが記録した372.5km/hとなっています。

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