今回は記憶に新しい2012年の最終戦、ブラジル・インテルラゴスです。インテルラゴスになってもうだいぶ月日も経ちますが、お粗末な管理にこじんまりとまとめられた反時計回りが特徴のサーキットで、クラッシュも多く、最終戦近くに行われることもあって毎年ギリギリのチャンピオン争いが起きますね。

2012年シーズンはレッドブルの独走を抑えるべく、開発競争が行われていたエンジン排気の空力的利用(エキゾースト・ブローイング)が禁止されたことが話題になりました。それによってチーム間の戦力差が縮まったこと、ピレリタイヤの理解から始まり、開幕から7戦続けて異なる優勝者が誕生するという珍しい記録やロズベルグやマルドナドの初優勝とシーズン中の勝者は8人を数え、3年ぶりにF1に復帰したライコネンも健闘し、シューマッハが「2度目の引退」を発表した年でもあります。8人優勝がいるなんて、この1、2年からは想像もつきません。日本代表のザウバー小林可夢偉もシートを失ってからも奮起していたのを覚えています。


チャンピオン争いはベッテルとアロンソの二人に絞られ、どちらが勝ってもチャンピオン3回目。このレースで得点差13ポイント、ベッテルはこのレースの結果が4位以上であれば自力でチャンピオン決定。アロンソは最低でも3位以内でフィニッシュした上で、ベッテルの結果を待つ形でした。ベッテルの有利な立場には変わりありませんでした。

・アロンソが何位でもベッテルが4位以上
    →ベッテルがチャンピオン
・アロンソが1位、ベッテルが5位以下
    →アロンソがチャンピオン
・アロンソが2位、ベッテルが8位以下
    →アロンソがチャンピオン
・アロンソが3位、ベッテルが10位以下
    →アロンソがチャンピオン
・アロンソが4位以下
    →ベッテルがチャンピオン
という状況でした。


予選結果
1 L・ハミルトン(マクラーレン・M・PI)
2 J・バトン(マクラーレン・M・PI)
3 M・ウェバー(レッドブル・R・PI)



ベッテルの予選は4位、アロンソは8位。順当にいけば労せずベッテルでした。
しかしスタートでフェラーリの2台が好スタート、マッサが2位、アロンソが5位に浮上し、ベッテルは7位に後退し、さらに4コーナーで地元B・セナと接触してスピン。ベッテルのマシンはコース中央で後ろ向きになってしまいます。皆と向きが真逆です。辛くも後続車との接触は避けられたもののベッテルは左エキゾースト周りにダメージを受け最後尾に。

余裕と思えたチャンピオンが遠退き、観ているこちらは絶望視しました。一方アロンソはマッサとレッドブルのウェバーとのバトルの間隙を突いて3位へ浮上し、ベッテルは飛ばしに飛ばして着実に一つずつ順位をあげていきます。ベッテルを応援している立場からだと、まったく生きた心地がしませんでした(笑)

10周目を過ぎると各車ピットインが始まり、浅溝のインターミディエイトへ交換したものの、さらに雨が小降りになり、再びスリックへ交換する羽目に。23周目にセーフティカーが導入されたことで2人のギャップは帳消し。ベッテルはアロンソの真後ろに迫ります。

この後トップを走るフォース・インディアのヒュルケンベルグ、マクラーレンのハミルトンがペナルティーやリタイヤで、マクラーレンのバトンがトップに。雨足が強くなってからタイヤを再びインターミディエイトに履き替えて、2位のマッサがアロンソに前を譲り、6位メルセデスのM・シューマッハは後輩ベッテルに前をあっさり譲ります。この順位ではベッテルのチャンピオン。一周一周で目まぐるしく順位とチャンピオン獲得権が行き来します。
ただし、バトンに何事か起きてアロンソがトップに立つようなことがあれば逆転の可能性もまだ残ってました。まさに予断を許さぬ状況。


残り2周のホームストレートでフォース・インディアのディレスタがクラッシュし再度セーフティカー発動、そのままセーフティカー先導でバトンが我関せずと静かに優勝。スタートから続く混乱が嘘のように鎮まり、6位のベッテルが3年連続3回目のドライバーズチャンピオンを獲得しました。アロンソは健闘虚しく2位という結末。2位でもこの表情。


2011年が圧倒的な速さでベッテルが楽々チャンピオンを獲得した次の年の出来事だっただけに、怒涛の2012年を制したベッテルは実力だけでなく運まで味方にして、勝ち得た最終レースまでハラハラドキドキのレースだったと印象に残っています。


決勝結果
1 J・バトン(マクラーレン・M・PI)
2 F・アロンソ(フェラーリ・F・PI)
3 F・マッサ(フェラーリ・F・PI)


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