この前はチャンピオンになれなかった惜しいドライバーを挙げました。今回はチャンピオンに着目してみます。

チャンピオンになる資質、運やマシンの要素も大きいですが、やはりみんなキラリと光る特技や特徴があるかと思います。ただチャンピオンを讃えるだけではつまらないし他と同じ。そこで独断と偏見ではありますが、近年のチャンピオンを印象から大別してみました。わからない部分や隠れた特徴もあるかと思うので、違うだろと、異論があれば指摘して頂けると嬉しいです。
★は現役(データは2015年終了時点)


case1.賢さや堅実さで勝つチャンピオン

チームを束ねたり従えて、速さの必要なときは飛ばし、前が離れたらあまり無理せず確実にポイントを得る。(ズル)賢さと安定した順位、期待の結果を必ず出す右肩上がりのポイントゲッター。

アラン・プロスト
   優勝51回 表彰台106回 
   ポール33回 ファステストラップ41回 
   チャンピオン4回(85,86,89,93年)
M・シューマッハが現れるまでの最多勝利者で、フランス人唯一のチャンピオン経験者です。N・ラウダをF1の師とし、緻密なコーナリングやタイヤに対する労わり、計算された、必要に応じたペースのメリハリのつけ方など、プロフェッサーというあだ名が付いています。1982年の雨のドイツGPで引き起こしたD・ピローニとの接触事故もあり、雨のレースペースが遅めで、レース自体棄権してしまうほど、実は雨が苦手です。

ミハエル・シューマッハ
   優勝91回 表彰台155回 
   ポール68回 ファステストラップ77回 
   チャンピオン7回
   (94,95,00,01,02,03,04年)
まさに「ミスターF1」といえる、F1ドライバーの代表格として記録や記憶を数々残してきました。デビューし1戦でチームが変わり、2戦目でチームメイトのN・ピケを上回る結果を残し、2年目で早速初勝利とA・セナをポイントで上回る。セナを失った後の4年目、5年目で連続チャンピオンを獲得します。宿敵M・ハッキネンが去った後再びチャンピオンを5年連続で獲得し、若手の台頭もあり一度引退するも復活、他の手の届かない最多勝に最多チャンピオン記録を持ってます。
チームを上手くまとめ、時には勝つために手段を選ばないあたりも「彼らしく」徹底しています。

フェルナンド・アロンソ★
   優勝32回 表彰台97回 
   ポール22回 ファステストラップ21回 
   チャンピオン2回05,06年)
当時最年少チャンピオンを2年連続で獲得し、今もなお最強ドライバーの名を維持するアロンソですが、その年の最速マシンには実は乗れていない気がします。チャンピオンを獲得した2005年も2006年はドライブしたルノーよりマクラーレンの方が速かったし、2007年はマクラーレンをドライブするもフェラーリに肉薄され、いざフェラーリに乗るとレッドブルやメルセデスが頭角を現します。最速でないマシンを優勝に導く、それがアロンソの真骨頂といえます。憧れのホンダの優勝も彼の手に委ねられました。


case2.速さがモノを言う、飛ばして逃げろチャンピオン

予選から上位に出て、決勝も飛ばせるだけ飛ばして前に出る。ファステストラップを積み重ね、時には車をぶっ壊しかけたり、もう飛ばさんでいいよと多少リスクも伴ったり、マシンのセッティングに敏感な脆さもチラホラ覗く繊細天才肌。

アイルトン・セナ
   優勝41回 表彰台80回 
   ポール65回 ファステストラップ19回 
   チャンピオン3回(88,90,91年)
F1を知らない人でもこの人の名前は聞いたことがある、日本で「音速の貴公子」と親しまれたブラジルスポーツ界の、F1界のスーパースターです。飽き飽きしてしまうほどのポールポジションの獲得、雨に屈することなくスロットルを踏める勇気、速さとは裏腹の繊細さもあり、ドライビングテクニックのみならず周囲への気配りも絶やさないキャラクターは多くのファンを魅了し、ドライバーから絶大な支持をされました。
早過ぎる死。それは後世にF1のさらなる発展と安全の必要性を身をもって伝える、彼らしい全うであると考えます。

ミカ・ハッキネン
   優勝20回 表彰台51回 
   ポール26回 ファステストラップ25回 
   チャンピオン2回(98,99年)
セナ亡き後、日本ウケする容姿でF1人気を支え、日本のCMにも登場するなど多くのファンに愛されました。バトルもクリーンで自分のミスで泣き、勝っても不器用でダサいガッツポーズ。こんな真面目で純粋なチャンピオンを他に知りません。
シミュレーションで想定できないようなラップをリアルに叩き出し、ポールポジションから他に抜かれることなく勝利する。チャンピオンを決定するレースを確実に、自力でもぎ取る。優勝までの道のりは遠かったですが、1995年のオーストラリアで一度死にかけたことが、チャンピオンの資質を開花できた要因の一つにも思えます。あとは仁王立ちの元妻イリアのあげまんか?!

キミ・ライコネン★
   優勝20回 表彰台80回 
   ポール16回 ファステストラップ42回 
   チャンピオン1回(07年)
初めはキャリアが少ないためF1昇格を試験的に許された、というのは過去の話。蓋を開ければザウバーで先輩N・ハイドフェルドと互角にやりあえたことが評価され、同郷のM・ハッキネンの後任にわずか2年目でメルセデス出身のハイドフェルドを差し置いてメルセデスのマシンに指名されたことが、命運を分けた気がします。
2003年には惜しくもランキング2位、2005年も最速マシンで2位。歴代2位のファステストラップを記録するも多くの不運に見舞われた「独特なセンス」を持つ奇数年のフライングフィンは2007年にやっとチャンピオンを獲得し、リタイヤしても出戻っても現役トップクラスの人気でF1界を牽引し続けています。

セバスチャン・ベッテル★
   優勝42回 表彰台79回 
   ポール46回 ファステストラップ25回 
   チャンピオン4回(10,11,12,13年)
デビュー時は子供に見えたドイツの少年は、走り出せば才能を如何なく発揮させ、M・シューマッハの後継者と評されて歴代記録を度々塗り替える絶対王者になりました。
ポールポジションから他車を寄せ付けない間隔に持ち込み逃げ切る走りを得意とし確立。長年記録と勝利を重ねたレッドブルから2015年の今年、フェラーリに乗り換えても、マシンが速かっただけではない、ちゃんと実力もあるんだ!ということをハッキリ証明してくれています。


case3.巧みな技でひるんだ隙に力を発揮するチャンピオン

普段はトップから若干後ろ。でも雨や荒れたレースでしれっと前にいる。女性を口説くかのような華麗なギヤさばき、見事なステアリングさばき。目立たないが息が長いタイプ。

ネルソン・ピケ
   優勝23回 表彰台60回 
   ポール23回 ファステストラップ24回 
   チャンピオン3回(81,83,87年)
四天王と呼ばれた1980年代のチャンピオンの中では勝利数が少なめでも、確実な入賞率と、終盤まで諦めない逆転チャンピオンで3回戴冠し、名を馳せてきました。爆発的よりも堅実な結果、そしてギヤを丁寧に扱えるドライバーで、決して壊すことはしませんでした。その丁寧さが世の女性を多く魅了したプレイボーイとも何だか相通じます。同郷のA・セナとは犬猿の仲だったことも有名な話です。
残念ながら、息子はF1で開花せず。。。

ジェンソン・バトン★
   優勝15回 表彰台50回 
   ポール8回 ファステストラップ8回 
   チャンピオン1回(09年)
今では珍しくなくなりましたが、当時若干二十歳で名門のウィリアムズから鮮烈デビューしたことでも話題になりました。K・ライコネンに負けず劣らずの容姿で人気を博し、F1ドライバーの傍らモデルにもチャレンジし、第二の母国と語るほどの親日家で妻も日本の道端ジェシカ。
長年勝利に遠いと言われながらも2009年にブラウンGPで大化け、雨や荒れたレースで確実に結果を出せるチャンピオンになりました。苦労人から今や現役で一番のベテランドライバー。


case4.火がついたら暴れちゃうぞチャンピオン

気分や車の調子にも多いに影響して、ノリに乗れば爆発的。時には傲慢で攻撃的にもなるライオン。ただし、諦めも早かったりするので、一見友達になるのを一瞬ためらいそうなタイプ。

ナイジェル・マンセル
   優勝31回 表彰台59回 
   ポール32回 ファステストラップ30回 
   チャンピオン1回(92年)
わかりやすいまでのワガママっぷり、まるで子供のような一面を見せながらもどこか憎めない、キャラクターとして許せてしまうのはあの眉毛と髭のせいでしょうか。
チャンピオンになれそうでなれない。あと一歩で不運やドジをかまし、苦労に苦労を重ね、ケンカにケンカを重ねてやっと1992年にチャンピオンを手にします。豪快なドライビングスタイルからF1のみならず、アメリカに舞台を移し、インディーカーでもチャンピオンをかっさらうあたりが、やっぱり人気の証拠です。

ルイス・ハミルトン★
   優勝43回 表彰台87回 
   ポール49回 ファステストラップ28回 
   チャンピオン3回(08,14,15年)
幼少時代に早くもマクラーレンのロン・デニスに見初められ、GP2で結果を残すと約束通りのマクラーレンからデビューし、いきなり初年度からチャンピオン争いに絡む。結果もさることながらチームメイトのF・アロンソを焦らせ、嫉妬させてしまう「大物」です。
若かりし暴れん坊から近年は確実なドライブができるドライバーに成長し、今や最速メルセデスに敵なしの状況を作り上げています。F1を牽引するのはベッテルだけではない、オレ様を忘れるな!と言わんばかりです。

ちなみに個人的には2番のタイプが好きです。観ていて気持ちがいい。反面、1番のような安定感がなく、期待外れな結果も玉に瑕。

どのタイプも連勝し、毎度続くと飽きられ、視聴率やファンが減ってしまう可能性があります。平等に勝ってくれて、最終戦までもつれてくれると観ているファンはハラハラドキドキできるのですが。

チャンピオンの年をみると、80年代、90年代は四天王と言われたドライバーが2連勝以上はなくうまくバラけていますが、2000年代前半と2010年代前半はシューマッハとベッテルの連勝が目立ちます。ライバルが不在(いないわけではない)なのか、マシンとドライバーの組合せが絶妙なのか、今年もハミルトンの2連勝が有力な流れ、2010年代後半のチャンピオンシップ争いが偏らないといいなと思っています。

今回もまた記録も載せてみました。先日の「チャンピオンになれなかったドライバー」と比較すると、やっぱり数字が全然違いますね。あとはタイミングなんでしょうか。

ハミルトンはデビュー当時のイメージがあったので4番にしてしまいましたが、最近のメルセデスのマシンから来る走りからは2番でもいい感じです。

あ、ヒルとヴィルヌーブを忘れてました(笑)


case5.パパより速く走れるぞ!チャンピオン

遺伝子なのかコネなのか、速い車で親父と同じ領域に。だからといって誰でもなし得ない、選ばれし二世。

デイモン・ヒル
   優勝22回 表彰台42回 
   ポール20回 ファステストラップ19回 
   チャンピオン1回(96年)
唯一の「二代チャンピオン」です。チャンピオンの息子でも苦労しながら暮らし、遅咲きながらウィリアムズマシンでM・シューマッハとは違ったアプローチで勝利を重ねて36歳でチャンピオンをもぎ取りました。この方が前を走ると、パッシングも正直容易ではありませんでした。
結果的には父グラハムのチャンピオン2回には及ばなかったものの、優勝回数、ポールポジション回数、ファステストラップ回数の全てで父を超えてみせました。

ジャック・ヴィルヌーブ
   優勝11回 表彰台23回 
   ポール13回 ファステストラップ9回 
   チャンピオン1回(97年)
アメリカのCARTチャンピオンで結果を出し、父と同じF1の門をウィリアムズで叩きました。チームメイトのD・ヒルとともに二世ドライバーとしてデビュー、いきなり初戦オーストラリアGPでポールポジションを獲得してしまいます。決勝はラスト5周までトップを快走する活躍で、父ジルを上回る逸材であることを世に知らしめます。2年目も勢いをそのままにエースドライバーとして勝利を重ね、M・シューマッハの猛追に屈することなく父の成し得なかったチャンピオン獲得。
以降はルノーエンジンの一時撤退が響き、勝利から遠退いて尻すぼみな結末でF1から離れてしまいます。



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